以前ご紹介した、ニコラス・ケイジの『
8mm』に似た感じのお話し。暗~い
雰囲気も似てます。かつ、こちらは2時間半超という長尺。
ダニエル・クレイグ演じるところのジャーナリストのミカエル、書いた記事
が名誉毀損で訴えられて窮地に陥ったところに、とある財閥から、調査
を受けるなら、窮地から救うネタを提供しようというオファーが舞い込む。
選択の余地なしのミカエル、これを請け負いまして現地に飛んで財閥
ご一行と面談などして調査を始める…というツカミ。

寒そうなところです。
この調査対象の猟奇殺人とやらが結構分かりにくいんですわ。何しろ
40年前の事件ですしね。当時の関係者証言やら新聞スクラップ、記録
ビデオの切れ端みたいな、ネタとも言えんネタから真相に迫っていく訳
ですが、これがまた、普通そんなん気付かんやろ…というような些細な
ところが手掛かりになったりするんですよねえ。
アナタはコナン君ですか若しくは、ひょっとして攻略本あったりします?
的なご都合主義ちっくな展開なのだが、映画としては謎が解決せんと
お話しになりませんから、まあ予定調和ってとこですかな。

こんなんヒントにならんでしょ、どー見ても。こうやって載せてますけど
ネタバレになり得ませんのでご安心ください。
個人的には、このメインストーリーについては進行がダル目な点がやや
ナニだったんですが、それでもスウェーデンその他欧州各地のロケーション
や財閥一家の豪邸などは、なかなかの雰囲気でしたな。また、財閥の連中
っちゅーのが一癖も二癖もあるヤツらでして、いかにも、ですわ。ま、この
点もなかなかのキャラ仕立てと言えるでしょうか。
そして、いよいよ犯人を特定するんですが、まさに意外な人物であります。
意外というか、動機が今ひとつ分からんような気がしたが、まあちょっと
偏ったお方なので自分なりの道理といったものがあるんでしょう。それに
しても、40年前の猟奇はともかく、未だ現役でそれに似たようなことを粛々
とやっとるっちゅーのはどーなんですかねえ。バレるやろ、普通は。

終盤、ミカエルもしっかり捕まる。
んで、メインのストーリーも暗い・重い上に、サブとして絡めてある女性
ハッカーのリスベット(ルーニー・マーラ)にまつわる話も、非常に暗重
なんですよー。とある心療疾患から社会復帰しつつある彼女に対して、
ソーシャルワーカー(?)のオッサンが職権濫用でセクハラするといった
内容なんだが、この女優さんが華奢かつティーンエイジャーっぽい容貌
でして、見てて痛々しいというか寒々しいというか。

眉毛ないしパット見コワイけどね。右側の写真はある役割を果たすために
変身したところ。別人ですな。
しかし、彼女もついに立ち向かいます。やられた分、きっちりやり返す。
オッサンの自業自得なんですが、キツイでっせーこのリスちゃんの責め。
男としてそれだけはご勘弁を系の事態(特定の方にとってはウェルカム?)
が容赦なく生じる次第でして、まあちょっとキッズには刺激が強いかね。
って、あれ?これレーティング入ってないんかな。他のシーン含めて、R15
ぐらいにはしとかんとイカンと思うが。

問題のオッサンです。
とまあ、時間的にも内容的にも大作の部類であろう本作、映画としての
出来はなかなかだったんではないでしょか。2時間半でもあんまりダレ
ませんでしたからね。謎解きの進行がダル目とかコメントしましたが、
それは単純明快B級路線指向者としての愚見でして、一般的には重厚
な味付けが好まれるのではないですかね。
テーマ的に観る人を限定してしまうやも知れませんけど、じっくり観賞
タイプの人には向いている作品と思います。しかし、観終わってみれば
タイトルの通り、主役はダニエル・クレイグというよりルーニー・マーラ
の方だった気がしますなあ。非常に深い印象が残りました。