解説
「『スクリーム』シリーズのウェス・クレイヴン監督によるジェット
サスペンススリラー。ホテルのマネージャーとして働くリサは、
マイアミへ戻る飛行機で隣同士になったリップナーと知り合う。
しかし、彼の正体は国家要人暗殺チームのテロリストだった…」
あらすじ
「ホテルの従業員のリサが深夜フライトに搭乗したところ、空港で知り
合ったリップナーと偶然にも同席となった。だが、リップナーは実は暗殺
グループの一員であり、リサの父親の命と引き換えに、ターゲットが
泊まる予定の部屋を変更するようにリサを脅迫してきた」
(Wikipedia)
解説言うところの「ジェット・サスペンス・スリラー」というのが、どういう
ジャンルなのかちょっと分かりかねますが、確かに飛行機の中での
やり取りが、本作のひとつの中心軸にはなっております。
リサはマイアミのホテルの有能なマネージャーでして、祖母の葬儀で
実家に行った帰りに、出発空港でリップナーと知り合います。正体は
テロリストなんですが、とてもそうは見えない。優男風で物腰も話し
振りも実にソフト。飛行機の揺れが苦手なリサに、気を紛らわせるよう
話しかけたりする紳士ぶり。リサもちょっと好感を持った様子。

ところが、離陸後しばらく後、実はさっき知り合ったんではなく、前
から目星を付けていたとリップナーが突然言い出す。なぜならば、
自分達がターゲットとする大使が宿泊する部屋を君なら変更する
権限を有するから、と。

狙撃するのに都合のイイ部屋にして欲しいんよね。あ、イヤなら君の
おとーさんが不愉快な目に遭うよ…と、話が続くんですが、この時の
口調が極めて静かでして、それが却って怖いです。目も結構コワイ。
衝撃を受けながらもリサも唯々諾々と従うわけではなく、あの手この
手でスキを突こうとするが上手く行かず、結局部屋変更をTELで指示。

しかし、コトが計画通り進んでマイアミに無事着陸したのもあって、
リップナーの気も緩んだんでしょか、リサは隠し持ってたボールペン
で彼の喉を刺して逃走。

居合わせたドクターが言うには、ラッキーにも気管に刺さってるので
死なんで済んだとのこと。あーなるほど、それであんまり血出てない
んですな、ってホンマか…。
とにかく、ここからのリップナー君はタフの一言です。普通、死なん
までも喉刺されたらその場でダウンでしょう。ところが彼は違います。
喉穴をモノともせず全速でリサの後を追っかける。さすがテロリスト、
体が出来てますなあ。

この後もさらなるタフネスぶりを見せてくれますよー、リッちゃん。
足をヒールの踵で刺され、棒で殴られ、階段から転げ落ち…などあり
ながら、なおしぶとくリサに迫ってくる。

さすがテロリスト、ガッツがありますなあ。
前半の見せ場が飛行機内での静的なやり取りとすれば、後半のそれは
リサとリップナーとの闘いですね。それとホテルでの動き。脅されて
大使の部屋変更に応じたが、その後現場へ連絡して避難するよう再度
指示。変更後の部屋を狙うテロリストたちは着々と準備を進めており、
果たして避難が間に合って大使は助かるのか…ってな展開が同時並行
的に進行します。

本作、オープニングで財布を盗んだり、冷凍魚に隠してあった銃器を
取り出したりするシーンがあって、何じゃこりゃ?と思って観てたん
ですが、後でちゃんと話が繋がってました。伏線として分かりやすい。
分かりやすいのは伏線だけでなく、作品全体としてもそうですねえ。
冒頭から飛行機でリップナーが正体明かすまでがチトだる目というの
はあったんですが、そこからは緊迫感のあるやり取り、一般市民女性
のリサとテロリストのリップナーのバトル、ホテルでの爆破という形
でクレッシェンドして盛り上げてくれまして、テンポもいいし上手い
作りですわ。
本作の監督は『
スクリーム』を撮った人ということでして、なるほど
いずれも素晴らしいですわ。私としてはレニー・ハーリン調の明快さ
や適度なB級テイストも感じましたな。
そして、この映画のもひとつの大きな特徴として、主人公のリサこと
レイチェル・マクアダムスの上玉ぶりが挙げられましょうか。笑って
も泣いても怒っても、はたまたバトルの時でさえ、上玉のままです。
普通、テロリストとのファイトなどすれば、多少は汚れ、煤けていく
もんですけど本作の彼女はキレイなままなんですなあ。

わたくし、激しく琴線を弾かれました。
また、テロリスト役のキリアン・マーフィーもいいですよー。機中で
静かに脅しをかける時の怖さ、一転、リサを追っかける時の執念深さ
やタフさ、いやあ頑張っておられました。

カバンにけつまずいてコケたり…と、お茶目な一面も。
てな次第で、時間的にもほどほど、ノリ良く分かりやすい娯楽映画に
仕上がっておりまして、あんまり血なまぐさいシーンもありませんし
万人向けの作品と言えるかと思います。