で、本作、今度はリンカーン大統領がヴァンパイア・ハンターとして
活躍するっていう話、おまけにジャケ写真も冒頭のようなもんですし、
これはもう間違いなくB級街道まっしぐら作品であろう、と意気込んで
臨んだところ、またまたハズされましたわ。が、ハズされたといっても
イイ意味で、です。
解説
「『チャーリーとチョコレート工場』のティム・バートンと『ウォンテッド』の
ティムール・ベクマンベトフが手掛けたバトルアクション。大統領となって
人民を味方に付けたリンカーンは、母の命を奪ったヴァンパイアたちへの
復讐を誓うのだが…。PG12」
あらすじ
「幼い頃に母親を失ったリンカーンは、母を殺した犯人がこの国に潜む闇の
勢力(ヴァンパイア)だと知る。復讐を誓った彼は、使い慣れた斧を手に、
厳しい修行を積み重ねヴァンパイア・ハンターになる。昼間は雑貨店で働き、
夜は狩りをする二重生活を過ごす。壮絶な戦いが続く中、運命の女性メアリー
と出会い結婚することにする。しかし、彼の努力も虚しく、ヴァンパイアたち
は勢力を強めるばかり……。さらに、政治家が奴隷をヴァンパイアの食料と
して売買しているという衝撃の事実を知るのだった。自分一人の力では太刀打ち
できないと考えたリンカーンは、ヴァンパイアたちに対抗するため、奴隷解放
を掲げ第16代大統領となり、人民たちを味方につけ、ヴァンパイアたちに戦い
を挑むことを誓うのだが…」
(Amazon)
上記あらすじは結構端折ってるんですが、他のサイトなどではやけに中途
半端なとこで終えたりしてまして、こちらが一応良かろうということでお借り
した次第です。
先ほど、イイ意味でハズされたと述べましたが、この映画のスゴイところは、
物の怪アクションというB級的な素材をベースにしながら、立派な
政治ドラマと
いうか、ヴァンパイアに母親を殺されて復讐に燃える少年が、理想高き青年に
成長し、そして大統領となってもっと大局的・俯瞰的な観点からヴァンパイア
と闘うようになるまでを描いた、一種の
大河ドラマに仕立て上げた点ですな。

主人公エイブラハムの、少年→青年→大統領の変遷図
もちろん、大前提がリンカーンがヴァンパイアハンター、なんていう大胆なもの
なんで強引な話の持っていき方や、いつの間にか時が流れて…といったご都合
主義的なところもあったりするのですが、まとめ方が上手いんですかね、観て
いて妙に納得いくところがありました。原作があるらしいんですが元々それが
しっかりしてるんですかね。
そして、私のような傾奇者にとっては
この点が重要ポイントなんですが、肝心
のヴァンパイアアクションという点でも、かなりイイんですよ。時代考証的に
考えてもSFちっくな武器などは出てこなくて、せいぜい銃や大砲程度。メイン
となるのはエイブの斧ですね。その斧をブンブン振り回してヴァンパイアども
をなぎ倒していく様は、まるで殺陣ですよ。スピーディです。

ところどころスローになるという、ジョン・ウーみたいな演出もあったり…。
鳩は飛ばんかったけどね。あと、暴走する馬から馬へジャンプしながらバトル
してみたり。また、ヴァンパイアも姿消したり、瞬間移動してみたりと多彩な
技を繰り出す。

これらの他、終盤の列車のとこ(右写真)も見せ場でして、こちらもなかなか
でありました。
キャストですが、観たことあるな…っていう顔はあったものの、青年期以降の
主人公の人とか知らんかったですね。

ベンジャミン・ウォーカーって人。暴れるとこも良かったが、苦悩シーンなど
もよかったですよ。
彼の奥さん役は確かダイハードでブルース・ウィリスの娘役やってた人かな。

メアリー・エリザベス・ウィンステッド。言い方は良くないかもだが、垢抜け
なさがイイ感じでした。
その他、エイブラハムの仲間等も的確に脇を固めててナイスジョブでした。

ヴァンパイア組もイイんだが、もちっとアクが強くてもよかったかも…。

首領とその妹。
てな次第で、B級ベクトルを求めた道楽者をもキッチリ満足させてくれた上に
映画としてもちゃんとしてるという、1粒で2度美味しいグリコ作品でしたわ。
この駄感想で伝わるかどうかは甚だ疑問ですけどね…。いや、それにしても
本作、プロットやあらすじ、ジャケ写真などでキワモノ系だろうと思われて
一般の方にはスルーされかねませんなあ。いや、モッタイナイ…。
あ、そうそう、ラストもおしゃれに締めてくれてました。

時代は現代。何でそうなるのか、についてもちゃんと落としてくれてます。