解説
「マニアックな映画愛あふれる作品を送り出し、世界的な注目を浴びて
いるカナダの5人組映像集団「アストロン6」が手掛けるSFアクション。
地獄の吸血軍団と人類が全面戦争を繰り広げる近未来を舞台に、最強の
改造人間マンボーグとしてよみがえった男が人類を滅亡の危機から救う
ため立ち上がる。およそ8万円という超低予算ながら、予告編が動画サイト
にアップされるや大反響を呼んだ。アストロン6による短編やフェイク予告
編も日本劇場公開特別版として併せて上映される」
(シネマトゥデイ)
あらすじ
「近未来、ドラキュロン伯爵(アダム・ブルックス)率いる地獄の吸血
ナチス軍団が人類に宣戦布告し戦争へと発展する。人類が滅亡直前まで
追い込まれる中、戦死したはずの兵士が何者かにより改造手術を施され、
無敵の人造人間マンボーグ(マシュー・ケネディ)として復活。敵の
パトロール隊に収容所へ連行されたマンボーグは、収容された人間たち
と協力し、地獄軍団への反撃に立ち上がる」
(シネマトゥデイ)
解説によると、相当な好事家団が作ったようですな。確かに映画愛と
いうテイストは、そこここに感じました。ザッと思い付くだけでも、
『ロボコップ』はもちろんのこと、『ターミネーター』や『バットマン
(のゴッサム・シティ)』等へのオマージュっぽいものが色濃く表れて
たように思います。『スター・ウォーズ』的なとこもあったかな。
他にも色々思い浮かびましたが、憶えてられませんでした。とにかく
相当お好きなようで。

といっても、本格的なSFなんかでは全くなく、内容は極めておフザケ
仕様になってます。その点、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』や
『マチェーテ』のようでありますな。フェイク予告も多いし。
で、内容なんですが、もちろんB級です。超弩級と申し上げて過言
ではないでしょう。モノホンです。敵の素性が「
ドラキュロン伯爵
率いる地獄の吸血ナチス軍団」という点だけで、B以外の何者
でもないこと決定ですわ。

軍団の皆さんと伯爵。
マンボーグは最初普通の兵士で、兄と共に戦闘してたんですが、
まず兄が伯爵に吸血されて目の前で殺され、自分自身も銃弾を
全身に浴び瀕死に。が、何者かが彼を引き取ってマンボーグに
仕立て上げる。

何者かってのは一応ネタになってるんで敢えてバラしませんけど、
ハッキリ言って伏せるほどのレベルない詰まらんネタです。
それで、マンボーグなんですけど、解説やあらすじでは最強だの
無敵だのとなってますが、あんまりそんなこともない。ロボコップ
が寝違えたかのようなぎこちない動き、そして動くたびにギーとか
プシューとか音立てるんで、すぐ敵に見つかったり、体に仕込まれ
た武器の使い方も不慣れで銃をあらぬ方向に乱射してしまったり…
と、かなりどんくさい。

人間味があるとも言えるか…。
マンボーグと共に敵に立ち向かう囚人仲間ってのが、実に濃い連中
でして、カンフー(?)使いの囚人1号(アジア系。常に上半身裸)、
ヤンキー風のヤツ(チャラ男)、その妹の7号という3人。

妹君は看守に惚れられたり、過去に別の看守とのエピソードがある風
なんですが、その辺の描き方が実に中途半端でよく分かりません。
が、本作を観賞するにあたって、特段の支障がある訳でもないです。
また、大筋は軍団との戦いなんですが、その途中で囚人1号の脱走、
7号とのロマンス(?)なんかの話があったり、収容所の見世物として
囚人対クリーチャーのバトルがあったり、色々とサブストーリー的な
ものも絡めてはあります。

が、これまた実に中途半端でして、こうしたユルさ、ヌルさが本作の
大きな特徴となっています。ちゃんとした映画なら訳分からんでイラ
つくところでしょうが、こんな作品なので、まあそれも味のうちか…
とB級的スタンスで臨むのが吉、ですね。
んで終盤、収容所に4名で乗り込んでって大暴れするわけですが、
最後に7号が銃弾を喰らって死にかけてしまいます。このまま天に
召されるのか、それとも…という感じのラストです。

まあ、こうやって書いてるんだから、このまま死亡ってことはない旨
ご想像つくかと思いますが、一応これもネタなんで伏せときますわ。
かなり強引な展開です。
ユルさ、ヌルさが本作の大いなる特徴だと申しましたが、さらに
絵のショボさ…というのか貼り絵みたいな映像も特徴ですね。

わざとこうした作りにしてるんでしょうなあ。これもまた味か…。
てなことで、かなり観る人を選ぶ作品ではあるものの、私としては
結構楽しめました。あ、ちなみにフェイク予告は冒頭20分ぐらいに
渡って延々と続きまして、これも特徴のひとつですな…。にしても
解説には予算8万円とありましたけど、ホンマかなあ…。いくら何
でも8万では無理なように思えたが…。