
制作=2011年・米国 84分
こないだご紹介した『
デビル』と似たようなシチュエーションのエレベーター
パニックもの。そういや、前に『
ダウン』っちゅーヤツも採り上げましたな。
自分でも意識したことはなかったが、結構ハコものに惹かれるところが
あるのやも知れません。
作品解説は
「エレベーターに閉じ込められた9人の乗客の、生き残りを賭けた決死の
脱出劇を描いたシチュエーションスリラー。CEO・ヘンリーやその孫娘ら
を乗せたエレベーターが地上200メートルで緊急停止。やがて、乗客たち
の隠された過去や秘密が明らかになり…」
というもの。
あらすじは
「マンハッタンのウォール街に立つ超高層ビル。その最上階にある会場
で開かれるパーティーに向かう9人がエレベーターに乗り込む。しかし、
最上階に向かう途中の49階付近で急に停止してしまう。事故にせよ故障
にせよ、救助の人間がやって来るか、再び動き出すだろうと、のんびりと
過ごしていた乗客たち。しかし、そのうちの一人が「わたしは爆弾を持って
いる」という衝撃的な告白をする。それを機にパニックに駆られエレベーター
から脱出しようとあがく乗客たちだったが、次から次へと思いも寄らない
出来事に見舞われていく」
です。
(シネマトゥデイより)
本作は上記2作と異なり、超常現象的な事象や突飛なSFっぽいこと等は
発生せず、徹頭徹尾現実的なお話しです。脱出パニック劇&乗客の人間
ドラマって感じですかね。ジャケット写真はいかにもパニックものの印象。
閉じ込められた9人というのは、ビルオーナーで大富豪のCEOとその孫娘
の他、従業員とその婚約者、パーティのゲスト、コメディアン、妊婦さん、
ガードマンなど。

コメディアンがイラチで、やたら周りに噛み付いたりはするものの、
パッと見、普通の乗客たち。が、実はワケあり人物が多い。

これがコメディアン。一言で申せばイヤなヤツ。閉所恐怖症の気あり。
で、「エレベーターが急停止」とありますが、原因は事故でも故障でも
なく、孫娘のイタズラによるもの。その後動き出さんようになるのは、
故障ということでしょうけど。

意地悪そうな表情が小憎たらしい。キャラもそういう設定。
閉じ込められた9人、段々イライラが募ってきます。何とかしろとやたら
大声でがなったり、コメディアンがアラブ系のガードマンにテロリストと
絡んだり、妊婦さんが我慢出来ずに小用をカバンに…等々。

が、こんなのはまだ序の口、カワイイもんでして…。
気の毒な妊婦さんからお腹の子の父親は同乗してる従業員(婚約者
連れ)だと衝撃的な告白がなされたり…。

左から妊婦さん、婚約者、プレイボーイ。奥の太っちょ君は関係なし。
二人は元同僚で懇ろな間柄だったようです。エレベーター内が一気に
気まずくなったところへ、さらに衝撃的なことを言い出す方が…。
老婦人が「実は爆弾を身に付けている」と激白。夫が会社に騙されて
債券に投資して失敗し自殺したのでその復讐にパーティ会場で会長
を道連れにして自爆する積もりだった、と。

今度は気まずいどころではありません。しかもこのご婦人、こんな宣言
したと思ったら心臓マヒか何かで急死。爆弾はどこだ?いつ爆発する?
そもそもホンマに爆弾なんてあるんか?と室内はさらに大騒ぎ。

調べてみると爆弾は老婦人の体に固く縛り付けられており、解くことは
おろか切ることも出来ない。切れないなら縛られてる体の方を解体する
しかない、ということになり…

さすがにこのカットシーンそのものは写ってはいませんでしたけど、
飛び散る血しぶきでどのようなことが行われたか察せられますね。
というような惨状を呈する中、件の孫娘はハコの隅にうずくまり、
「
私は悪くない、私のせいじゃない…」と震える。

お前が停めたからやっちゅーねん…なのだが、まあ、すんなり
パーティが始まっておればおったで、会場で爆発が起きて多数
の人間が巻き添えになったやも、ですけどね。
ところでエレベーターは階と階の間の中途半端なところで停止した模様。
そこで、扉をちょっと開けてフロアのボタンで操作しようという案が出され
実行に移されます。さっき「この子の父親はアナタなのよ~ん」と名指し
された色男クンがトライすることに。

ところが、何を思ったのか、孫娘がエレベーターのボタンを懸命に押下、
作業途中でハコが動き出しそうに…

うわぁ~こりゃお約束通りの展開か…?と思ってたら、ほぼその通りの
事態が発生するんですが、詳細は敢えて語りますまい…。
で、しばらく後のハコの中。死人、怪我人、ご気分の悪い方等々…。

その片隅で孫娘、「
私は悪くない、私のせいじゃない…」。

い~や、お前が悪い。
一方、外部も傍観してた訳ではなく、あれこれ手段を尽くしてまして、
相当時間が経ちはしたものの、ようやく消防隊が救助に駆けつける。
僅かしか開かない扉の隙間から一人ずつ引き上げていきます。

あーやっと助かった…と皆が安堵する中、太っちょの従業員がこの
隙間からでは出られない、と。

実はこの時点ではさっきの老婦人爆弾が未処理でして、ひょっと
したら爆発するかも知れないという状態。太っちょクン「いいから
皆早くビルから脱出してくれ」と言い独り残り、誰もいなくなった
エレベーター内で「俺、ヒーローかな」と呟く。

う~ん、ヒーローとはちょっと違うのでは…。この後実際に爆発
するか否かについても、敢えて語りませんが…。
上記の他にも、狭い空間で色んな揉め事やあてこすり等々沢山あります。
その多くの中心であったのがコメディアン。いやー実に見事にイヤミ君を
演じておられましたよ。素かも知れませんけどね。が、後半~休出後の
エンディング辺りでは妙にイイ奴風になって、いがみ合ってたアラビアン
ガードマンとも解け合いっぽくなってたのは違和感ありましたな。
てな次第で、ほぼエレベーター内という極めて限られたロケーション、
有名どころもいないキャスティング(どっかで見た顔ってのはいたが)、
多分あまり多くかけられてない予算…といった、好条件ではない下で
作られた作品にしては、最後まで引っ張ってくれました。90分足らず
の短尺というのも奏功してますかね。
まあラスト近辺は雑味を感じたり、孫娘の行動が実に不可解ってのは
あったけどね…。絵的に激エグってこともないし、サラリと観賞できる
のではないかと思いますわ。
あ、ちなみに、上述の揉め事やら爆弾騒ぎやらの各イベントは、必ず
しも記載通りの順番で発生する訳ではありませんので、その点お含み
おきいただければ幸いです(予告編等でよくある、ランダム風のヤツ
を真似ようとしたんです…)。
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『デビル』がアレだっただけに、これは期待できそうですね!
エレベーターを舞台にした映画っていうと、
『CUBE』の監督さんが、実験的に作ったという
ショートフィルム『Elevated』ってのを思い出します。